HSC 乳児④ 愛情タンクの大きさ

A先生のいる支援センターには月に3回~5回程通っていました。週に2回行くこともあれば行かない週もあったりでしたが、それでも何度か通ううちに娘に変化が出てきました。まずは中に入っても泣かなくなりました。抱っこからは降りられなくても私が荷物を降ろしたり上着を脱いだりする間は待てるようになったり。部屋に入って座ってからはいつもコアラのように私の胸に顔をうずめてしがみついましたが不思議とA先生が話しかけてきても泣かなくなっていて、ある時A先生が私の隣に座って「娘ちゃん慣れてきたね」と笑って話してくれました。

その時の私は変化があったとはいえ自由に動いて遊ぶ事のないしがみついてばかりの娘と、楽しそうに遊ぶ他の子とを比べてしまって焦る気持ちがまだ変わらずありました。積極的になんでも出来るようにしてあげなくてはと、今考えたらまだ1歳前後の子にそんな事も求める必要なんてないと思える事もその時にはなんとかしてあげなくては、母親として出来る事は何か、といつも考えて出来ない娘をみて自分なにがいけないのか、どうすればいいのかと落ち込んだりしていました。

そんな私にA先生が今までにも娘のような子が沢山いた事。もっと泣いて暴れていやがっていた子もいたけれどそんな子達も最後はこの支援センターで楽しく遊べるようになった事などを教えてくれました。

子供達はそれぞれ大きさの違う愛情タンクを持っていてタンクが満タンになったら自然とママから離れて遊べるようになる、そんなイメージで愛情タンクが満タンになるまで望むだけしっかり抱っこしてあげて大丈夫。娘ちゃんの愛情タンクは他の子より大きいのかもしれないね。嫌がっている間は無理に背中を押さないで、大丈夫大丈夫って声をかけて抱きしめてあげてねと、そんな話を聞かせてくれました。

抱っこを続けていると、私の胸にいつもうずめていた顔をあげて周りを見回すようになったり近くにあるおもちゃに手を伸ばしたりするようになってきました。前を向いて膝に座れるようになるまで何か月もかかりました。

そうして膝の上で遊ぶようになった娘、他のお母さんと私が喋るようになっても泣かなくなって少しずつ私も支援センターに通う事を楽しいと思えるようになってきました。

それでもインターホンや内線の電話の音に驚いて泣いてしがみついて途中で帰る日もありましたがその頃には娘なりに楽しめている様子があったので私も焦りや不安が減っていきました。

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