少しずつ支援センターに慣れて来た娘。
A先生の言った通り、だんだん泣かなくなって、手を繋いでいれば部屋の中を歩けるようになってきました。
それでもお友達が近づいて来ただけで泣いてしまったり、抱っこばっかりの日もあれば家に帰りたがったりもしましたがそんな時は娘が望むままに抱っこして帰りたい日はすぐに家に帰ったりとそんな風にしていたある日、その支援センターでボールプールを出してくれました。
興味を持つ娘。
だけど他の子達が喜んで一斉にボールプールに向かったことで後ろに下がってしまい前に行けなくなりました。
「ボールプール楽しそうだね、一緒に行く?」と声かけるも首を横に張って離れたところから眺めていました。
興味があり行きたい気持ちがあるのは伝わったので手を繋いで一緒に行こうと私が少しでも立ち上がりかけると不安な気持ちが大きくなるようでまたより後ろに下がってしまいました。
なので「楽しそうだね、いつでも行っていいからね」とだけ声をかけてあとは黙って見ていました。
そこへA先生がやってきて「娘ちゃんボールプール好き?」と声をかけてくれました。
いつもなら返事をしない娘がその日はこくんと頷きました。
A先生が「一緒に行く?」と言って手を出してくれました。
すぐに返事をしなかった娘ですがいつもとは明らかに表情が違い行きたい気持ちが表れていました。
それがA先生にも伝わったのか更に「行こう!」と言う先生。
すると自然と先生の手を取り娘が私から離れて先生と一緒にボールプールへ向かって歩いて行きました。
私は驚いてその歩いて行く娘の背中を眺めてました。
いつも支援センターで一緒になっていた娘を知っている他のお母さん達も驚いて「あ!」っと少しざわついたぐらい、それぐらい娘が私から離れた事が信じられなかったのです。
ざわざわっとなりかけたその瞬間にA先生が娘の手を引きながらそうっと振り返って私と周りのお母さんに向かって「しーっ」と、人差し指を立ててジェスチャーしました。
周りが大袈裟にリアクションをしてしまうと敏感な娘はきっとまた私のところに戻って来てしまっていたと思います。
どこに行っても家以外では私から離れられなかった娘が、先生と手を繋いで歩いて行くその瞬間の映像はいまでも思い出せるくらいの感動がありました。
着ていた服も覚えています。
あまりの感動にボールプールのそばで先生からボールを受け取る娘を見ながら涙が出ました。