心の余裕がないと間違える

ある日の出来事

下の子が一日体調が思わしくなく、今日は早く寝かせてあげようとお風呂やご飯を早めに済ませて、準備万端あとは寝るだけという時に、私のお腹の調子が思わしくなくトイレへ。でも回復せず、時間も遅くなるし我慢してもうベッドへ行こうとトイレを出たその時。

「ママ!たいへん!こっちきて」と下の子が駆け寄ってきた。連れていかれた先に見た光景は散らばった細かいビーズたち。沢山のビーズが入ったケースが机の端に置かれていて、そのそばにあったセロテープを取りたかった弟がケースを倒してしまったと言われた。

そもそもそのビーズは工作好きの娘が自分のお小遣いで買ったばかりのもので、買った時の娘はとにかく喜んで嬉しそうにビーズをケースにしまっていた。娘の工作スペースに机が置いてあるのだけど、その机の不安定な場所にそのケースが置かれていたので「こんなところに置いてると危ないよ」と声を掛けた。その時娘は「蓋をしてるから大丈夫だよ」と。それ以上私は何も言わなかった。

そんな経緯もあったので早くベッドへ行かなくてはという気持ちと現状からの苛立ちでつい「だからお母さん言ったよね?」とまず娘を責めてしまった。

散らばった細かいビーズを一粒ずつ拾う娘に、「全部手で拾うのは無理だ!」とある程度集めたところで掃除機で吸うからね!と冷たく言い放ち、「早く寝ようって言ったよね?なんで寝る準備しないの。こんな時間からセロテープ必要ないよね?」と弟を批判した。

子供達はだまって片付けを手伝い、それが終わると何も言わないままに黙って寝る準備をしてベッドへ向かった。私はずっと苛立った態度のままで。

寝る前にいつもの約束の声掛けがある。

「どんなあなたたちも全部大好きよ。いつでもお母さんはあなたたちの味方だよ。お母さんの大事大事だよ」そんな言葉を子供達にかけてからおやすみなさいをする。

その日も下の子がその言葉を言ってと要求してきた。苛立っている私は疲れと体調不良から一刻も早く子供達に寝てほしかったのだけどそれでもいつもの言葉を伝えた、その時、「あ、間違えた」と気付いた。

さっきの私の態度は間違った。全然子供達の味方じゃなかったと気付いた瞬間に子供達に申し訳ない気持ちが止まらなくなってしまった。

下の子は寝つきがよく、すでに寝息を立てていたけれど、娘はまだ起きていたのですぐに「ごめん、お母さん間違えた。あんな言い方しては駄目だったね、大丈夫だよって言ってあげないといけなかったのに。あれじゃお母さん全然味方じゃなかったよね。」そう伝えた。

娘は何も言わず大号泣していた。どんなに反省して謝っても一度ぶつけた言葉は取り返しがつかない。

時間があれば戻してほしい。「ママ!たいへん!」と言ってきた下の子はどんな思いだっただろう。私の態度できっと罪悪感をもっただろう。自分のお小遣いで買ったお気に入りのビーズを弟にばらまかれてしまった娘はきっとショックだったに違いない。きっと弟を責めたかったに違いない。だけど自分の置いた場所が悪かったという事実があったためにきっと自分を責めたに違いない。私の態度と発言はそんな娘を傷つけてしまった。

「教えてくれてありがとう。大丈夫。一緒に拾おう」そう言ってあげればよかった。時間がないのなら、「時間がある時にゆっくり片付けよう」と言ってあげればよかった。

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