やる気スイッチは本当にある

支援センターに行くのをやめて家で遊ぶ日々を過ごしていましたが、娘が10か月になる頃になぜだか突然、もう一度行ってみようかなと思うようになりました。後追いが激しくなった娘と1日中二人っきりでいる時間がしんどくなってきていたからかもしれません。

でも今まで行った支援センターに再び行く気持ちにはなれず、少し家から離れている場所にある保育園が運営する支援センターに行く事にしました。

ここ出会った信頼できる先生のお話で娘に対する声掛けが変わり、私自身の不安も解消していきます。

やっぱり泣く

そこの支援センターは今までのところより部屋が広くて天井も高く開放的な空間でした。

支援センターデビューした生後半年より娘も成長していたし、開放的な空間からもしかしたらと少し、ほんのすこーしだけ期待して中に入りました。

が、やっぱり駄目でした。

初めて行った所なので名前等を記入しないといけないのですが娘が泣いて抱っこから降りるのを拒否する為書けません。荷物すら降ろせない。上着も脱げない。

困っていたところに声をかけてくれたのが、保育士の先生でした。

泣いてていいよ

今までの支援センターでは娘を泣き止ませようと声をかけてくれていたのですが、この先生は違いました。

「初めてのところはびっくりするよね~、大丈夫だよ~、いっぱい泣いてていいよ~

お母さんも気にしなくていいからね、記入も後でいいし。荷物降ろすのだけ手伝うね」

たったこれだけの言葉でしたが私まで泣きそうになってしまいました。

「泣いてていい」「気にしなくていい」この言葉にこれまでの申し訳ないという気持ちから救われました。

更に先生は「お母さんここに座ろうか、抱っこしててあげてね」と部屋の隅に案内してくれて先生も私の隣に座りました。そして娘の顔は一度も見ず、私にだけ話しかけてくれました。するといつも通り私の胸に顔をうずめてしがみついてはいるものの、娘が泣かなかったのです。

初めて来た私たちに興味を示した他の子がこちらに近づいてきました。娘の警戒心が高まっている事がわかり、ああ泣くな、、、と思ったその時

「○○ちゃん、今何つくったの?一緒にみていい?」と、こちらに歩いてきた子の手を取って娘から離れたところへ連れて行ってくれました。

初めて居心地よく過ごせました。娘はもちろんいつも通りで、他のお子様の声や走る足音、おもちゃの音に怯えて泣いていましたが先生が「泣いてもいいからね」「お母さん気にしないで」と度々話しかけてくれるので安心できたのだと思います。素敵で信頼できる先生だと思いました。

帰り際に「お部屋に入れない子もいて、入り口で挨拶だけしてバイバイを何回も繰り返して、玄関までは入れたね、靴が脱げたね、お部屋に入れたねって一年くらいかけて通ってくれた子もいたんですよ。だから娘ちゃんはお部屋には入れたんだし大丈夫。いっぱい泣いていいからまたきてね。」そう言ってくれました。その日から週に1~2回この支援センターに通うようになります。

愛情タンクとやる気スイッチ

何度か通っても相変わらず膝から降りられない娘でしたが先生が安心させてくれたおかげで周りのお母さん達の目が怖いと感じることもなくただ座って娘にお天気やお昼ご飯の事なんかを話しかけたり、時々先生と喋ったりして過ごしました。

この時まわりのおもちゃの事に触れたり他のお友達について話しかけると泣くのでまったく関係の無い話をしていました。言葉はまだわかっていないながらに抱っこを降ろされてしまうんじゃないかと感じ取っていたのだと思います。

するとある日いつも私の胸に顔をうずめていた娘が周りをキョロキョロし始めました。近くにあったおもちゃを見せてみると首を振ってまた顔をうずめてしまいましたが・・・とても小さな変化でしたがその回数が日に日に増えていくようになります。

そんなある時先生が「泣いてていいよ」「抱っこしててあげてね」という言葉についてお話してくださいました。

・子供には愛情タンクがある。愛情タンクの大きさはその子の性格により様々である。

愛情タンクが満タンになると自然とお母さんの抱っこから降りられるようになる。

愛情タンクの大きな子は時間がかかるけど満タンになるまではとにかく望むだけ抱っこし続けてあげる。

甘やかしではないし、ここで無理に頑張れと背中を押し抱っこを拒否することで恐怖心がまし益々自分でいけなくなってしまう。

泣く事を許してあげる事も愛情のひとつである。無理に泣き止ませるのはその子の気持ちを否定する事になる。

愛情タンクが満タンになるのがいつで、何歳になったら出来るかなんてわからないけれど自信をもって愛情いっぱいに抱っこして満たしてあげて。

・やる気スイッチは子供が自分で押す

愛情タンクが満タンになると子供にスイッチが入る瞬間がある。

スイッチを押すのは子供自身でありタイミングを決めるのも本人。

必ずスイッチが入るのでそれまでは愛情タンクを満たしてあげる事だけを考える。

スイッチが入ったら声をかけずに見守る。

娘にもやってきたスイッチオンの瞬間

愛情タンクとスイッチの話を聞いてからただ抱っこして支援センターで過ごしていたものの、それでも当時不安がなくなったわけではありませんでした。

私の声掛けや行動で娘が抱っこから降りられるのでは?泣き止むのでは?他のお子様に混じって遊べるようにしてあげたい、すべきだ。相変わらずそんな気持ちになりましたし、娘がキョロキョロ周りを見渡せば期待して思わず行ってみる?やってみる?抱っこ降りる?なんて声掛けをしてしまったり。そしてまた顔をうずめてしがみつく娘。そんな日もあったり、本当に先生の言葉通り私は何もせずただ抱っこだけして過ごす日があったり。

週に1・2回通いながら数か月たち娘が1歳を過ぎてよちよち歩き出した頃、その頃には向き合った抱っこから背面抱っこで過ごせるようになりそして指さしで行きたい方を指示したりおもちゃを選んで少し遊べるようにと変化していきました。周りの音や声に反応して泣いていましたが最初に比べると大進歩です。この頃には敏感っこである娘の事を周りのお母さんも理解してくださりお子様に娘の方に近づかないように配慮してくださる方もいました。

そしてついにある日・・・・

先生がボールプールを出してくれました。興味を示す娘。私の手をひいて歩いて行こうとしたのですが私の前に赤ちゃんがハイハイしてきて進めなくなってしまいました。止まる私とボールプールに行きたい娘。いつもなら抱っこ!となるはずが、つないでいた手を娘が離したのです。

とにかくびっくりして1歩2歩と1人でよちよち前に進む娘の背中をただみつめました。

1人で歩くことのなかった娘を知っている周りのお母さんもびっくりしていました。

それに気付いた先生が私と周りのお母さん達に向かって「しーっ」と指をたてて合図を送ってきました。そして先生がそっと娘に手を伸ばしました。なんと娘が先生の手を掴んでボールプールに向かって歩いて行ったのです。一度も私を振り返らず。まさに娘にスイッチが入ったのです。

誰かに何かを言われたわけでもなく誘われたわけでもなく、自分から私の手を放し、先生の手を掴んで自分の足で自分の行きたい方へ自分で進めた初めての瞬間でした。

私から離れて歩いていく娘の背中をみつめながら涙が出ました。

この時の娘の背中は今でも忘れられません。その後ももちろん抱っこを要求しましたし、怖がって泣いたり、常に手を繋いでいたりしていましたが、支援センターに入って行く娘の表情はこの日から明らかに変化しまた1人でおもちゃに進むことも増え、お気に入りのおもちゃも出来てきました。

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